相次ぐ企業へのサイバー攻撃に対処するため、警察庁は10日、損保大手のあいおいニッセイ同和損害保険(東京)と被害防止に向けた連携協定を結んだ。企業に警察への相談を促すことなどを盛り込み、被害の潜在化を防ぐ狙いだ。
同損保は、企業向けにサイバー攻撃への対策セミナーを開くなど被害防止に取り組んでいる。協定は、両者が連携して企業への被害防止の啓発を進め、警察への通報や相談を促す内容だ。
警察庁によると、サイバー攻撃を受けた企業は、社会的信用の低下を懸念して警察に申告しないことが多い。昨年は全国でランサムウェア(身代金ウイルス)による被害が230件確認されたが、実際の被害はさらに多いとみられる。
日本損害保険協会は2020年、サイバー攻撃による取引先への損害などを補償する「サイバー保険」の加入率を調べた。企業1535社のうち加入していたのは7・8%だった。被害を把握しにくい状況が続いている。
協定の締結式に参加した同損保の新納啓介社長は、中小企業などを対象に対策セミナーを増やすなど対応を強化するとし、「サイバーアタックに強い社会を作り上げたい」と話した。警察庁の河原淳平・サイバー警察局長は「サイバー事案の潜在化防止や、企業などにおける被害防止対策につながることを期待している」と話した。(板倉大地)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル